変動性の入園料金
2010年05月11日(火) 13:36
UXいろいろ, 日本発信四方山話, 栃木, イベントの話, サインやUIの話, モノ+コトの話あしかがフラワーパークの一歩進んだ?!料金設定をご紹介します。
さまざまなエクスペリエンスを提供してくれる場所や空間へは入場料や入園料といった名目のお金を払うのが通例です。テーマパークや国立公園、美術館や博物館などで払いますよね。その金額は提供するエクスペリエンスの価値、維持や運営にかかる経費、その国や地域の慣例や相場などに従って設定されるのだと思います。関心を持ってくれたお客さんが「このくらいなら払ってもイイかな」と思える金額、自分の払ったお金に対して十分に満足のいくエクスペリエンスが提供されたと納得してもらえる金額に上手いこと落とし込むのが大切です。そうしないとお客さんが思うように入らなかったり、満足できずに帰ったお客さんがリピーターになることはまず無いでしょうし、昨今だとブログやら何やらで悪評を書かれて評判ががた落ちになるような事態にも発展しかねません。料金設定は難しいです。
で、あしかがフラワーパークの料金設定がどうなっているかと言うと、ホームページにあるとおり“入園料/開園時間は花の咲き具合で変動”するのです(写真[1]の左下部分)。わたし達が訪れた5月8日や写真[1]のキャプチャを撮った5月10日は藤の花が最高潮に見頃なため、昼間の入園料がこの時期にしては最高の1,600円に設定されています。毎朝7:00に当日の入園料金が決まり発表される仕組みになっているようです。
行ってみるまで料金が分からないなんて少しドキドキな感じもしますが、期間ごとに料金設定の幅は決まっています。トップページ(写真[1])にある“詳しい入園料/開園時間はこちらから”というリンクを辿った先のページによると(写真[2])、たとえば4月16日〜5月23日の期間、春のお花が順次見頃を迎える時季は大人の最低料金が900円、最高料金が1,600円です。満開の藤棚を観に行ったのに、行ってみたら3分咲きだった…なんてことになればガッカリしますよね? でもそのガッカリ感を満開時よりも安い入園料金が相殺して利用者の気持ちを少し軽くしてくれるというわけです。
料金が開花状況に合わせた変動性であることがトップページ(写真[1])上であまり目立たない点は改善の余地があると思います。詳細ページ(写真[2])と同様、5月10日の入園料、5月10日の開園時間という具合にタイトルを表示するようにしてはどうでしょうか? 料金が変動性であるということをしっかり伝えておかないと、「前に行ったときよりも値上がりしてる」とか、「自分が行ったときはもっと安かった」とか、勘違いして要らぬ不満を持つお客さんが出てしまうかもしれませんから。
それから入園券の半券には、約半年間有効な“再来園割引券”がついていました(写真[3])。これまたお上手です。せっかく来たのに見頃ではなかったというお客さんにもう一度、足を運ばせる巧みな技ではありませんか。あるいは藤の花に魅了されたお客さんがまた別の季節に、違うお花が咲き乱れる様子を見に来てくれるかもしれません。諸々ひっくるめて、あしかがフラワーパークはなかなかよく出来ていて感心しました。