パネル・ディスカッションを狙え

2009年04月09日(木) 02:58

UXいろいろ, アメリカ縦横無尽, イベントの話, ボストン

CHIで毎年ワークショップを開いているユーザビリティ業界の大御所、Susan Drayとご主人のDavid Siegel(写真[1])にホテルのロビーでバッタリお会いしたので、せっかくだからしばし歓談。CHIの感想を聞かれたので、もっと新しい試みや突拍子もないビジョンみたいなものを見られると勝手に期待していた私にとっては正直あまり面白くない!と思い切った発言をしたら、なんだか大きく頷かれてしまった(笑)。同じように感じている人が多いというのが彼らの返答。かなり厳しいレビューを経て発表するチャンスを勝ち取った論文たちも、ここ数年はレベルが低く、がっかりさせられるものが多いのだそうです。CHIを楽しむコツは、パネル・ディスカッションや招待講演を中心に参加するか、彼らのようなプラクティショナー(実務者)が主催しているワークショップやチュートリアルに参加することだそうです。でも、ワークショップやチュートリアルには、学会参加費とは別にさらにお金がかかるのだよね…。フリーランスの身には、そこまでの出費は辛すぎるのが現実です。

 

[1] 大御所スーザンとデイヴィッド [2] パネル・ディスカッションの様子 [3] オランダ人が美しいと思う絵

今日は最終日。SusanとDavidの助言に従って、朝一番のパネルディスカッションに行きました。MITの石井さんやソニー&東大の暦本さんなど日本人も登壇して、インターフェイスの”形”がこれからどうなっていくのかを諤々と議論。これまで平面(2D)が当たり前だったインターフェイスが、これからは変形が可能になったり、3Dになったり、人間の五感(触覚や視覚)をフル利用するようになる。現在までの研究成果から考えればこの展開はもはや当然なので、その後、さらにどうするかを“今日”から考え始めるのがCHIの使命だ!と石井先生が力強くおっしゃっていました。頼もしかったです。

昨日のパネル・ディスカッション(写真[2])では、“Beauty Dillemma”と題して、商品の見た目(デザイン)と使い勝手(ユーザビリティ)を天秤にかけたときにどっちを優先すべきかとか、ユーザはどっちを取るのか、みたいなUPAでもありそうな議論が展開されたのですが、MicrosoftのBill BuxtonがAppleのiPhoneを例に挙げて、「どちらかを選ぶ必要なんてない」と力説していたのが印象的でした。

同じパネル・ディスカッションの中でカーネギーメロン大学の先生が、「オランダ人だけは美的感覚がとにかく違うし、よく分からないので難しい」みたいなことを言って会場が大爆笑の渦に巻かれたのも忘れられない。“オランダ人は分からない”というのが世界的共通認識だということが分かりました(笑)。オランダを体験した後なので、一緒に笑えて嬉しかった。な〜んて一緒に笑ってしまいましたが、慎ましくもたくましく生きるオランダ人にとっては、笑われようと、いじられようと、ど〜ってことないというのが本音だと思いますけど。そして、そんなオランダ人のKees Overbeekeが今年のCHIを締めくくる基調講演のスピーカーです。どんな話をしてくれるのか楽しみ。