解決策が新たな課題を生む

2011年11月05日(土) 07:12

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SOLUTION CREATES ANOTHER PROBLEM: The balloon which tells you the current location in the platform is a great solution, because you don’t need to check with the sign on the wall over the rail track. However, can you notice the balloon hides some info about the next station? This is a good example that we need to check if the solution may cause another problem. Have a wide view!

都営新宿線の市ヶ谷駅で見かけた表示(写真[1])が、駅のプラットホームで現在地を知るうえではベスト…ってことに昨日はしたのですが、同じ作戦で、路線のどの駅のどの車両位置に今立っているのかを知らせてくれている案内を都営大江戸線の代々木駅にて見かけました(写真[2])。

 

[1] 都営地下鉄大江戸線市ヶ谷 [2] 都営地下鉄大江戸線代々木 [3] 吹き出しで他の情報が隠れる

プラットホームに用意されているこの案内を使いこなすには、“現在どの駅にいるのか”と“現在何番目の車両が停まるあたりにいるのか”の二つの情報を知る必要があります。吹き出しに入った“現在地”という表示があるおかげで、線路の向こうにある壁を見て、ここが“4両目付近”であることを確認する必要がなくなっています。写真を撮ったときは、他のお客さんがほとんどいなかったので、現在地が4両目付近であるということを簡単に確認できましたが、混雑しているときにはそうはいきません。他のところにある情報を確認することなく、この案内を見るだけで欲しい情報を手に入れられるようにしてくれている代々木駅は、かなり上等だと思います。

しかし、よくよく見ると(写真[3])、吹き出しに入った現在地というシールを貼ったことで、隣の駅(図では上に位置する駅)の4両目付近の情報が読めなくなっています。うーん、これは残念。市ヶ谷駅の吹き出しは(写真[1])、たまたま他の情報を隠すことなく貼れていただけで、吹き出しを貼ることにより、代々木駅の例のように、他所に悪影響が出ることが分かりました。

これはユーザビリティの教育的に好例です。Aという問題を解決すべく、Bという解決案を施したら、Aは解決したけれど、まったく別のCという問題が生じてしまいました。これでは真の解決とは言えません。局所的に問題点を眺めるだけでは、本当の意味で望ましい解決策を提示することができないのです。広い視点でモノゴトを見る習慣をつけましょう!