ホテル業界に物申す〜その2
2011年04月07日(木) 17:39
UXいろいろ, 日本発信四方山話, 神奈川, サインやUIの話, ヒトについて, モノ+コトの話随分と前になりますが、ホテルのお部屋掃除をしてくれるおばちゃん達とのコミュニケーション手段を何とかしろや〜、って話を”ホテル業界に物申す“という大それたタイトルで書いたことがありました。で、今日はその第二弾をハイアットリージェンシー箱根リゾート&スパの事例とともにお送りします。
ドアを開け、部屋の中に入ると、上がり口のところの壁に、写真[1]のような操作パネルが並んでいました。そのうちの右側の、ラベルもなんも付いていないただの出っ張ったボタンは、上がり口の照明を付けたり、消したりするために使うスイッチです。そんな照明のオン・オフ関連はまた今度お話するということで、ここでは華麗にスルー。今日のお題は、左側にある操作パネルです。これを使うと、廊下にいる掃除のおばちゃんに「お願い、起こさないで!」とか、「ちゃちゃっと掃除しちゃってね〜」とかいうお願いを伝えることができるのです。
たとえば、“清掃してください”という文字の隣にある丸いボタンを押すと、写真[2]のように、こちらが選択されているということを示すランプが灯ります。そして、ドアの外にあるドアベルのボタンの上にコソッと忍ばせてあるランプが、同じように緑色に灯ります(写真[3])。ちなみに、“起こさないでください”のほうを選択すると、赤いランプが点灯します。禁止が赤で、許可が緑。色の使い方もバッチリです。
多くのホテルで採用されているドアノブにひっかける札と同様に、客のほうで“起こさないでください”を押し忘れてしまえば、掃除のおばちゃんが威勢よくドアをノックする音や、「ハウスキーピ〜ング!」と叫ぶ甲高い声に安眠を妨害されることにはなりますが(日本だともう少し上品に声をかけてくれるかな?)、きちんと利用すればかなりイイです。何がイイって、部屋の中に居ながらにして、自分がどんなリクエストを出しているのかを確認できること。例の札だと、「ちゃんと“起こさないでください”の面を外側にしてぶら下げたかな?」と不安になって、何度もドアの向こうを確認することになりますよね?(わたしだけではないはずだ…)
銀座のとあるホテルでも、同様のシステムが採用されているのを見たことがありますが、そこでは操作部がベッドサイドに配置されていました。それだとドアからの物理的な距離が遠くなるため、部屋を出るときにうっかりサインを出し忘れてしまう可能性が上がります。連泊しないと、“清掃してください”のほうを使うことはないので、ベッドの中から“起こさないでください”を押せるようになっていることのほうが好まれる場合もあるのかもしれませんが…。もしかしたら銀座のホテルでは、一泊のみのご利用が多く、ベッドに潜り込んでからサインを出すという操作フローが主流で、ハイアットのほうは連泊のお客様が多く、何度も部屋を出入りするため、ドア付近に操作部を置いて、“清掃してください”のサインを出しやすくしてあげるほうが良い!なんて判断でそれぞれ配置が決められているのかもしれません…。深読みし過ぎか? どちらかを選ばなければならないとしたら、ハイアットのようにドア付近に配置するのが認知的には一番、だと思います。ベッドサイドよりも、ドア付近のほうが、単純に気づいてもらいやすいと思うので、まず使ってもらうという最初のハードルが越えられやすくなります。利用シーンによっては、ベッドサイトのほうが使いやすくなるかもしれませんが、まず気づいてもらわないことには使ってもらえませんからね。
なんてことを、箱根に行ってまで考えてしまう職業病なわたしなのでした。