2024年7月の読書記録
2024年08月23日(金) 16:26
本&映画の紹介まさかな感じで、3ヶ月目のギリ2桁です笑。海外からの調査案件2本連続と並行して、翻訳業務も佳境に差し掛かり、加えて8月初旬のセミナー準備と、それらの合間の潮干狩り笑。つまり、忙しかった。8月はいよいよ2桁が無理げなペースですが、とりあえず7月の記録をやっとあげる。
まず『コンヴィヴィアル・テクノロジー 人間とテクノロジーが共に生きる社会へ』はオススメ。人類が第二の分水嶺を越えつつある、いや、もう越えてしまったのかもしれないと考えると震えるけれど、これからを生きる人たちのためにまだできることがあるかもしれないから頑張らなければ!と思わせてくれます。でも、そんな自信ないなー、わたしは小者なんだよなーって怯んじゃう人には『「自信がない」という価値』も良書。自信がなければ実力をつけよ。
小説は、南海トラフの危機感が高まる今こそ『GEQ 大地震』を読んでビビッてみたり、『地球星人』を読んでポハピピンポボピア星へ逃げる道もあるかぁ……(ないって)とか、ボケっと考えてみたり。忙しい割に、重たい物語ばかり選んでしまったな。歴史もの(吾妻鏡)が一番ゆるく楽しめました。
読んだ本の数:10
読んだページ数:3230
ナイス数:76
地球星人
7月のノルマ小説。どす黒い物語を想像しながら読み始めると、山奥の祖父母の家で子ども達が無邪気に戯れていて意外と長閑な滑り出し。まー、すぐに変態塾講師からの性的虐待があり、母親からのほぼネグレクトに、宇宙人いとことの近親相姦があってからの、殺人。大人になって偽装結婚と、いとことの再会で、最終的にはポハピピンポボピア星人3匹の暮らしと妊娠という、現代社会の闇ぜんぶ盛りみたいな物語でした。勉強を頑張って働く道具になること、女の子を頑張って街の生殖器になること。地球星人になるってそういうこと。嫌だね、たしかに。
読了日:07月04日 著者:村田 沙耶香
富山は日本のスウェーデン 変革する保守王国の謎を解く
自由と公正と連帯を目指す「社会民主主義」のお手本がスウェーデンで、そうとは言わないけどそこを目指してるっぽいのが富山。たしかに女性が就労しやすい環境を整えてきたところは似てるのかも。「万雑」と呼ばれる地域独自の経済負担が受け入れられているところも、高い税負担は高度な福祉を実現するためのものと割り切っているスウェーデンと似てるっちゃ似てる。でも、地域みんなが家族みたいな感覚はスウェーデンにはなかったな。隣近所とは挨拶オンリー。他人とは徹底的に距離を取る人たち。それにしても、富山の「カニ給食」は素晴らしい。
読了日:07月06日 著者:井手 英策
「自信がない」という価値
基本的には自信がなくて、弱い部類の人間だと自覚して生きてきた。生き抜くために「自信があるふり」してたし、化けの皮が剥がれたときに焦って自爆しないようにと準備も怠らなかった。つまり、だいたい間違ってなかったってことだな。健康に自信がないならまず健康になること。人付き合いに自信がないなら社交スキルを磨くこと。キャリアに自信がないなら雇用可能性を高めること。要は、自信を持つより先に実力をつけること、自己評価よりも他者視点を信用すること、認知的不協和に負けないこと。つまり、まあまあ認知科学の話でした。
読了日:07月10日 著者:トマス・チャモロ-プリミュージク
日本夫婦げんか考 改版
最近ちょいハマっている永井路子女史が、歴史に名を残すご夫婦たちの夫婦喧嘩の成り行きや結末、裏に潜む想いなんかを、史実をもとにせっせと考察されたという一冊。電子書籍で安くなっていたので勢い買いしましたが、スキャンデータそのままろくにチェックせずに出しましたね…というタイポの連発で、あまりにも著者に失礼だぞ!と編集者を小1時間とっちめたい(改版は改まっているといいな)。政略結婚が多かった時代のご夫婦にも、喧嘩するほど仲が良いって感じのカップルもいたみたいで和みます。とりあえず、平清盛の娘はかわいそう。
読了日:07月13日 著者:永井 路子
GEQ 大地震
刑事モノの『砂丘の蛙』が面白かったので、ジャーナリスト主人公の『GEQ』にいってみた。面白いやんけー。というか、コワイって。実在の人物と実際にあった事件や事故が次々と語られるので本当っぽく読めてしまってコワイよホント。東日本大震災のときに「自民党はうまいタイミングで野党に回ったもんだ…」と思った記憶があるけれど、阪神淡路のときもそうだったのかーということで、今後の政権交代もコワくなってしまったけれど、能登のみなさんの復興支援はがんばってほしい>自民党。
読了日:07月15日 著者:柴田 哲孝
陰翳礼讃
1年以上前に京都の本屋で購入した一冊。「なぜ日本人はうすくらがりが好きなのか」を訥々と語る随筆。なるほどなー、たしかにねー、とかブツブツ言いながら、プロ写真家さんによる美しい(しかしやはり暗い)写真をぼんやりと眺めたりして、忙しい日々の合間のちょうど良い息抜き読書となりました。平泉など、こんなに金ぴかにしなくても…と思っていたけれど、東北の冬は暗いどころではなかっただろうから、反射を活用して灯りをとっていたのかもしれませんね。ふむふむ。真夏じゃなくて、冬に読んだらまた感じ方が違うかもしれないな。
読了日:07月17日 著者:谷崎 潤一郎
コンヴィヴィアル・テクノロジー 人間とテクノロジーが共に生きる社会へ
旦那からのおすすめ書。本家イリイチの『コンヴィヴィアリティのための道具』よりも読みやすいということで。たしかに素晴らしい解説書でした(そういう位置づけの本ではないけども笑)。人間が、やっきになってイノベーションを推し進めたおかげでいよいよ第二の分水嶺を超えてしまった。道具を活用しているのではなく道具に行動させられてしまっていると。分岐点ではなく分水嶺。やり過ぎちゃったんだよな、人間は。イリイチが50年以上前にすでに警告を出してくれていたのに。しかし諦めずにがんばってくれる人たちの活動が紹介されてました。
読了日:07月22日 著者:緒方壽人
図説 死因百科
読了まで半年くらいかかりました笑。不運としか言いようのない死に方をする人がたくさんいる。オープンカフェに突っ込んできた車に引かれるとか、車の窓から首を出して看板にあたって首が飛んだとか、それに、飛行機事故が思った以上に多かった。ニュースにならない事故がけっこうあるっぽい。変な死に方をしないように、うっかりせず、油断せずに生きていかないとダメだな…とマジで思った。まぁ、もう50年も生きたからすでにけっこう満足だけど。
読了日:07月25日 著者:マイケル・ラルゴ
戦国大名県別国盗り物語: 我が故郷の武将にもチャンスがあった!?
これも時間かかってしまった。小説を読んだときも思ったけれど、北条早雲が迷惑。彼のせいで「北条姓」の話がわかりにくくなっちゃってホント迷惑。あと名前に「氏」がつく人も多いから、名前なのか敬称なのかわけわからんくなって疲れる。そもそも登場人物多すぎだし(いやそういう本だけど)、県別に展開していくので、時代が多少前後しちゃったりもして、ぜんぜんついていけなーい。いきなりハードル高いのを選び過ぎました。というか、応仁の乱の後、鎌倉時代に戻って楽しんでるところだから余計にわからんのだ。いつかまた読み直そう。
読了日:07月28日 著者:八幡 和郎
眠れないほどおもしろい吾妻鏡: 北条氏が脚色した鎌倉幕府の「公式レポート」
戦国時代へ進むのはやめて、もうすこし鎌倉時代の勉強を続けよう。ということでコレ。眠れはしたけどおもしろかった。『吾妻鏡』のどの部分が北条氏によって脚色されていると思われるのか、永井路子の小説のどの部分が新説なのかなどがわかってまたスッキリ。チクリ魔の梶原景時は、チクリ魔だったのはたしかっぽいけど、チクった内容は北条に都合の良いように改ざんされているげなのね。なるほど。人間関係と時間軸がだいぶ頭に入ってきました。次は永井路子以外の人が書いた小説にいってみる。
読了日:07月31日 著者:板野 博行