2023年11月の読書記録

2023年12月08日(金) 19:42

本&映画の紹介

2か月連続のギリギリ2桁。10月と11月は去年も同様だったっぽいので反省2倍。でも、今年は引っ越しもあったからな……。がんばってますよ。

で、オススメは、癖が強いのが大丈夫なら『口訳 古事記』、土偶や考古学に興味があってマジなら『土偶を読むを読む』、ゆるく縄文時代へ飛びたいなら『週末の縄文人』、逆に未来を妄想したいなら『本心』です。なにげにハズレのない10冊でした。ぜんぶオススメ。



読んだ本の数:10
読んだページ数:3259
ナイス数:83

ブラックガードブラックガード
事件は「どうせ矢能がかっこよく解決してくれるんでしょ?」と思い込んでいて、しかも小説だから当然そうなるわけで、そんなことよりも栞ちゃんや美容師さんと矢能との関係性のほうばかりに気を取られるという不思議な読書。仕事が忙しかったので、すばらしい現実逃避になりました。一気読みさせてくれる小説なので現実逃避も瞬間で終わってちょっと物足りない感じもあったとさ。
読了日:11月01日 著者:木内 一裕

口訳 古事記口訳 古事記
『ギケイキ』ばりの自由でハチャメチャなノリの町田康口訳に絶大な期待を寄せて大阪出張中に一気読みさせてもらいました。楽しかったー。「ええ感じで会えたんで、ここのことこれから会津て謂いません?」なんて感じで神話の時代に名付けられた地名とかあるのだ。へー。神々も、神々から国を任されて働く天皇たちも代々諍いの連続ではっきり言ってあきれるしかないのだが、困窮する民のために「まず身を切る改革だ」と言って3年間無税にして自分たちはボロ家で暮らすとかしてくれた聖帝がいたらしい…。まだまだ知らないことだらけ。
読了日:11月05日 著者:町田 康

解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯
パーキンソンを勉強する流れでたどり着いた本書。医師パーキンソンの名は一瞬しか出てこなかった笑。そんなことより、動物や人体の解剖を狂ったように続け、自らを実験台にすることも厭わず、教会や周囲を敵に回すこともお構いなしで人体や進化の謎を追い続けた変人の実話とは思えない伝記でした。兄と義弟に研究成果をほぼほぼ持っていかれたうえに借金まみれ。それでも生き方を1ミリも曲げようとしない奇人。彼の死後、家族は大変な思いをすることになったけれど、後世を生きるわたし達は彼を端緒とする医学に助けられて生きている。ありがとう。
読了日:11月14日 著者:ウェンディ・ムーア

土偶を読むを読む土偶を読むを読む
土偶にちょいはまりしてから約1年。『土偶を読む図鑑』しか読んでいないのだが、認知バイアスまみれの『土偶を読む』を本気でぶった切るべく刊行された本書。前半の検証はゲラゲラ笑いながら読みました。その後は、マジ研究者たちによる縄文や土偶の研究の推移と現在地を伝えるための寄稿だったり対談だったり真面目な話(いや、検証もマジだけど笑)。『実験:「ハート形土偶サトイモ説」』でもうひと笑い。いつのまにか『土偶を読む』の裏テーマに持ち上げられている「専門家や専門知への挑戦」への専門家からの回答で終わり。お腹いっぱい笑。
読了日:11月15日 著者:望月 昭秀,小久保拓也,山田 康弘,佐々木 由香,山科 哲,白鳥兄弟,松井 実,金子 昭彦,吉田 泰幸,菅 豊

教養としての歴史小説教養としての歴史小説
たまに読みたくなる歴史小説や時代小説。司馬遼太郎などはぜったいに面白いし、読みたいのだけど、いかんせん長編が多いよね…。時代小説を読めば昔の人たちの生活っぷりがわかるし、昔も今も変わらない日本人の考え方や価値観がわかって本当に勉強になる。と、わたしがずっと思っていたことを書き手側にいる人が力説してくれてました。オススメされている10冊+朝井まかてさんの『ぬけまいる』と著者の『塞王の楯』の12冊で月一ノルマ小説としよう。たぶん再来年。
読了日:11月17日 著者:今村 翔吾

最新 ヨーロッパの人気世界遺産めぐり最新 ヨーロッパの人気世界遺産めぐり
引越し荷物から出てきてまた読んでしまった笑。海外旅行より国内旅行のほうが楽しいぞーって、最近は感じているつもりだったけど、やっぱり海外旅行したいというのが本心なのかな笑。戦争のおかげでロシアへの道は遠のいた。そして今回は、じっくりイタリアを巡る旅をしなければいけないような気がしてきました。スウェーデン滞在中にグリーンランドへ行きそびれたのはやっぱり痛い。夏の北欧巡りもしたいな、いつか。
読了日:11月20日 著者:富井 義夫

週末の縄文人週末の縄文人
『土偶を読む』の著者が現地を(ほぼ)見ることもせず(たぶん)Webで手に入る情報だけを頼りに学説チックなことを言っちゃって、本気学者連中から総スカンを食らい、『土偶を読むを読む』でボッコボコにされてるのを読んでからのコレ。超絶おもしろかった。大人が無邪気に本気で遊んでいる…というか挑戦している。文明を捨てて縄文時代からやり直すべく(週末だけ)火をおこし、石斧をつくり、土器を焼き、竪穴住居を建てたりなんかして。壁に直面するたびに縄文人の苦労に思いを馳せる。できれば土偶もつくってほしい笑。
読了日:11月20日 著者:週末縄文人(縄・文)

本心本心
リアル・アバターによる代行業やVF(ヴァーチャル・フィギュア)として死者を蘇らせるサービスなど、実現可能性が高そうな建付けにグイっと引き込まれた。劉 慈欣が描くSFはもうすこし遠い未来を見据えているものが多いが、平野啓一郎はすぐそこまで来ている未来をリアルに俗っぽく描くものだった。すこし気になったのは、著者が紡ぐ言葉が高尚で、朔也や三好の日常を描写するのに合っていないように感じたところ。意図的なのかな? 貧困層に対するわたしの認知バイアスかもしれない。など、社会問題もいろいろと考えさせられる読書でした。
読了日:11月26日 著者:平野 啓一郎

アバターワーク メタバースが生み出す時間、場所、身体から解放された働き方アバターワーク メタバースが生み出す時間、場所、身体から解放された働き方
メタバースにどんな仕事があり得るのかを勉強して、埃をかぶっているVRヘッドセットをかぶる意欲につなげたいってことで読んでみました。すでに出番を感じさせないくらいのところまで進んでいるっぽい。VRフォトグラファーとかさ。でも「ボイスチャットありきのサービスになりそうなので滑舌の良さが大事になる」とか、わたし向きじゃん笑。老後にメタバースで小金を稼げるようになるには、今からちょっとずつ足を踏み入れておかないとな…。引っ越しでスペースできたので近々……。
読了日:11月29日 著者:株式会社 往来

ナンセンスな問い: 友田とんエッセイ・小説集Iナンセンスな問い: 友田とんエッセイ・小説集I
「日常の些細なことから無尽蔵に可笑しさを汲み取ることができるのだと示そうとしてきた」とあとがきにあって、そのとおり、ドトールとかで人間観察をすると面白いコト見られますぜ!というのを実践して報告してくれる、そんな本。眠気を吹き飛ばしてくれるような笑いはないけど(だから就寝前に読んでよく寝落ちしていた笑)、思わず「プっ」と軽く吹き出してしまうような小ネタはたくさん散りばめられていました。帯の言葉「本屋には行く。なぜなら、体にいいからだ。」が秀逸。大賛成。今週末は京都の本屋へ行こう。
読了日:11月30日 著者:友田とん