2019年7月の読書記録

2019年08月02日(金) 17:47

本&映画の紹介

月初めに前月の読書記録をあげられるなんてめずらしい展開だ笑。数ヶ月前に読んだ藤原伊織さんの短編集がそれほど刺さらなかったのですこし敬遠していた『てのひらの闇』をいよいよ読んでみたら、極上のハードボイルド小説で止まらなくなって、続編の『名残り火』まで通し読み。そういうわけで、藤原伊織祭りの開幕が決定しました。月村良衛祭りがそろそろ終わるのでちょうど良かった。

質問する,問い返す――主体的に学ぶということ』はなぜもっと早く読まなかったのかと後悔するレベルで良書。メタ認知力を上げたいと思っている人にオススメ。勉強方法がわかります。

英語の本もスウェーデン語の本も1冊ずつクリアーだけど、どちらも絵本という体たらくではある。冊数もぎりぎり二桁だし。でも、読みに逃げずに書くほうにもう少し時間を割こうかと思ってさ。という言い訳。



読んだ本の数:10
読んだページ数:2686
ナイス数:36


水戸黄門 天下の副編集長 (徳間時代小説文庫)水戸黄門 天下の副編集長
箔李(パクリ)とか、素乱符(スランプ)とか、うっかり信じてしまいそうになった…。いろいろなことが、サラリ平然といかにもありそうな話として書かれていてスゴイ。歴史と水戸黄門という時代劇とをなんとなくでも知っていて読めば読むほど、どれが本当の話かわからなくなって、いや、ぜんぶフィクションすべて作り話!と何度も自分に言い聞かせながら、楽しく読了しました。『土獏の花』や『影の中の影』を読んだ後なだけに、ギャップもスゴイ。時代物も書けるのかー、引き出し多い著者だなー。どちらかと言えばハードボイルドのほうが好き。
読了日:07月03日 著者:月村 了衛


はじめるデザイン   ―知識、センス、経験なしでもプロの考え方&テクニックが身に付くはじめるデザイン ―知識、センス、経験なしでもプロの考え方&テクニックが身に付く
中身を知らずに勢いで買ったら、予想とかなり違う内容だった笑。Photoshopの小技とかはふつうに参考になったけど、Illustratorを使うことになる日はたぶんこないな…。チラシとかDMとかバナーとか、つくる予定もないな~。Lundの観光マップとか作ってみようかなー。でもIllustratorないんだよぉ。買うほどじゃないな…。ということで、書評するほどにも読み込めなかったけど、脱稿まで6年かかったという「おわりに」の台詞を読んで勇気をもらいました。なんかちがうけど笑。
読了日:07月07日 著者:浅野 桜


人類のやっかいな遺産──遺伝子、人種、進化の歴史人類のやっかいな遺産──遺伝子、人種、進化の歴史
タイトルと訳者に引かれてさして迷わず買ったは良いものの、読もうと思ったら重たくて尻込みしつづけてきた本。やっとの読了。現在の人間社会のあり様とそれが未来にどう受け継がれていくのかをマジメに考えようとすれば進化の歴史を紐解かざるを得ず、それは遺伝を考えることであり、すると人種の話を避けて通るのはむずかしくなるけど、著者も含めてそこの言及を避けようとするから余計に小難しくなって、結局どうなんだっけ?と結論なし崩し的になってしまうというのを地で行く内容だった笑。
読了日:07月11日 著者:ニコラス・ウェイド


HELLO,DESIGN 日本人とデザイン (NewsPicks Book)HELLO,DESIGN 日本人とデザイン (NewsPicks Book)
なんかモヤモヤしっぱなしの本だった。なぜだろう? IDEOにいたオレ自慢がほとんどだからかな笑。“日本人はデザイン思考最強”という主張をいよいよ前面に出すのが最終章で、タイトルで煽りまくった割に物足りない。その中で例に取り上げている伊勢神宮の遷宮の話は、たしかにサーキュラー・エコノミーと言えそうだけれど、視点を変えればただのトップダウンだし笑。いや、伊勢神宮はステキで神聖な場所ですけどね。デザイン思考推しなのであれば、読み・書き・そろばん+デザインではなくて、+認知科学じゃないかな?
読了日:07月14日 著者:石川 俊祐


Jane, the Fox and MeJane, the Fox and Me
Lund図書館にておススメされていたので開いてみたら、イラストがとても素敵だった。で、読んでみたらどこの国の学校にもイジメってあるんだなぁ…と悲しくなってしまう物語だった。自分を笑う級友たちの姿を見たくなくて靴ひもを結び直すとか、忙しいフリをするためにリュックの中の荷物を必要以上にチェックするとか、仲間はずれにされてることを認めずに済むように、逃げ道を求めずにはいられないんだよねー。あー、切ない。女子の世界はいつでもどこでも陰険だ笑。単にお友だちができてのハッピーエンドじゃ、ちょっと物足りないぞ。
読了日:07月17日 著者:Fanny Britt,Isabelle Arsenault


質問する,問い返す――主体的に学ぶということ (岩波ジュニア新書)質問する,問い返す――主体的に学ぶということ (岩波ジュニア新書)
現代社会ならではの教育課題を乗り越えるべく教育者たちがどんな苦労と工夫を重ねているのかを、ジャーナリストがまとめてくれた一冊。“完全なるパクリレポート”や“哲学対話”など実際に自分でも体験してみたいと思うものもあったし、社会人向けの教育にも役立ちそうなことが盛りだくさん。「おわりに」に書かれていた“教育現場の実情を知らなければ記事は書けませんが、寄り添いすぎてはたこつぼにはまる危険性もあります”という著者が大事にしているバランス感覚は、ユーザー調査に通じるものもある。メタ認知教育にわたしも挑戦するぞ!
読了日:07月17日 著者:名古谷 隆彦


みんなの教育 スウェーデンの「人を育てる」国家戦略みんなの教育 スウェーデンの「人を育てる」国家戦略
スウェーデンの高校で実際に教壇に立っている先生が書かれた第三章の価値がスゴイ。数日間の視察や数ヶ月間の留学で見えてくるものは言ってみれば“外面”に過ぎなくて、現地の教師と変わらない立ち位置にまで入り込んで見て、感じて、そして書いてくれたことはすごく貴重です。日本の参院選と時期が被ったこともあり、第四章の主権者教育もすごく面白い。投票率80%越えがあたり前のスウェーデン。幼少時からみっちり仕込まれているからこそ達成される数字なのでした。日本がここに追いつくのは、無理っぽいなー。
読了日:07月19日 著者:澤野 由紀子,鈴木 賢志,西浦 和樹,アールベリエル 松井 久子 川崎 一彦


てのひらの闇 (文春文庫)てのひらの闇
柿島は絶対に悪だと思ったのに、そうでもなかった……。ヤクザの息子がふつうにリーマンやってて、課長とかになれちゃうなんてないわーとか思いつつ、しかし出自がそっち系だと男も女も大変だなしっかし…と同情を感じ始めたあたりで完全にのめり込んでの一気読み。主人公の風邪がなかなか治らなくてヤキモキするが、風邪を引いていなかったら冷静に対処し過ぎて話が面白くならないんだなコレ笑。我慢できないので、続編へすんなり進みます。
読了日:07月21日 著者:藤原 伊織


名残り火 (文春文庫)名残り火
まさかの柿島死亡……。悪だと思ったのにー。そして今回は、主人公が熱にうなされていない。そのため暴走しなくて前作よりもぜんぜんゆるい。ハチャメチャな感じが薄れてしまっていて残念です笑。まさかの年の差カップル誕生にも驚いたが、エキスパット(海外駐在員)や、近ごろ話題のコンビニ24時間営業問題が出てきて、いろいろタイムリー。2007年の作品なのにすごーい。そういうわけで、もっと続きを読みたくなる傑作でしたが、著者は他界されているそうでとても残念ですが、ほかの作品も探してみよう。藤原伊織祭り開幕。
読了日:07月28日 著者:藤原 伊織


Fantastiska fakta om djur Fantastiska fakta om djur
スウェーデン語の絵本です。動物たちの驚くべき事実をいろいろと教えてくれます。Google翻訳先生の力を借りないとぜんぜん読めないのですが、知らないことがたくさんだった。カワウソは水に流されないように手を繋いで寝るんだよ。七面鳥の頭の色は気分によって赤くなったり青くなったりするんだ。そんな「へぇ~!」の連続だった。そしてとにかくイラストがカワイイ。
読了日:07月30日 著者:Maja Säfström