2017年1月の読書記録

2017年02月22日(水) 17:16

本&映画の紹介

2017年はじめの一冊が三島由紀夫の『命売ります』って、どういうチョイスよ(笑)。一万円選書の④と⑤はともに小説ですが、ともに面白かった。特に『オービタル・クラウド 上』はスゴイ小説だと思う。岩田さんありがとう。中旬は翻訳本の校正に追われて他書を読んでいる暇ありませんでしたが、後半追い上げました。なんとか二桁達成です。

読んだ本の数:10
読んだページ数:2844
ナイス数:49

 

命売ります (ちくま文庫)命売ります (ちくま文庫)
要らないと思った命も、自分の意図や想いに反して奪われそうになると途端に怖くなってしまうようだ。そんなヒトの心の動きが小気味いいスピード感で描かれていた。40年以上前の作品ですが、読みにくさはない。そのころの日本の様子や風景を想像しながら、いつの時代も生きるのって大変よね…とか思いながら読んで、死にたいからって死ねるもんでもないよね、やっぱり。だから一生懸命に生きよう!とかって前向きに思わせてくれたりする(たぶん笑)名著。
読了日:01月04日 著者:三島 由紀夫


さよならインターネット - まもなく消えるその「輪郭」について (中公新書ラクレ 560)さよならインターネット – まもなく消えるその「輪郭」について (中公新書ラクレ 560)
人生の山谷を昇ったり、降りたり、きっと頑張ってきた人なのだと思うけれど、前半の、彼の人生振り返り…みたいな部分で結構つかれる(笑)。後半で具体的に社会に問いかけたり、自分なりの見解を共有したりされていて、そこの部分は頷いたり、首を傾げたり、興味を持って読ませていただきました。そこに説得力を持たせるために、前半の自伝的な部分が必要だったのかもしれない…。しかしそれにしても、前半はう~ん(しつこい笑)。とりあえず執筆途中に連絡途絶えるとか、そういう社会人としてあり得ないところが共感を薄くするんだな、きっと。
読了日:01月06日 著者:家入 一真


日本語が世界を平和にするこれだけの理由日本語が世界を平和にするこれだけの理由
【一万円選書③】若い頃にひたすら英語の勉強をしたという私に、岩田さんが勧めてくれた一冊。日本語の大きな特徴の一つとして“共視”があるとか、言語による周波数の違いが言語習得を難しくしているといった見解は秀逸で考えさせられる。ただし後半“日本語は決して難しい言語ではない”という主張が中心になって、主旨がぶれ始める感じ。とりあえず日本語は、盆栽じゃなくて、花瓶のほうが良かったような気がするなー。日本っぽさを出すことが優先されたのか?! 世界平和とか大きいことではなく、英語を勉強中!という人に読む価値ありです。
読了日:01月08日 著者:金谷武洋


森に眠る魚 (双葉文庫)森に眠る魚 (双葉文庫)
私に子育ては無理だった…と、読了して思う。とりあえず繭子に子どもを預けるってあり得ないわー。繭子が子どもじゃねーか。お受験に、モデル事務所がどうとかに、不倫に、消費者金融に、なんだか、ワイドショーネタ的なものが全部放り込まれている凄まじい物語でした。個人的には容子が一番あわなそうなのだが、最後には第二子を妊娠して幸せそうにしていて、でもその子がお受験かんがえる頃にはまた同じ想いと行動を繰り返すんだろうな…と思ってかわいそうになったけど、でもこういう女はキライだ。ママ友の世界にいる皆さん、お疲れ様です。
読了日:01月09日 著者:角田 光代


もう年はとれない (創元推理文庫)もう年はとれない (創元推理文庫)
【一万円選書④】この爺さんが87歳だと? ないわ。ない。とりあえず口が悪い(笑)。でもすごく奥さんのことを愛している。失礼な知人に対して、辛辣で嫌味120%の受け答えをする奥さんを見ながら、“人生においてわたしはいくつか間違った決断を下したかもしれないが、結婚相手だけは間違わなかった”と心で思う主人公を私は大好きかもしれない。でも口は悪いし、殺人現場は悲惨だし、登場人物の名前は覚えにくいし、続編に手を出すかどうかは微妙。
読了日:01月15日 著者:ダニエル・フリードマン


続・インタフェースデザインの心理学 ─ウェブやアプリに新たな視点をもたらす+100の指針続・インタフェースデザインの心理学 ─ウェブやアプリに新たな視点をもたらす+100の指針
さらに100項目を追加するのはきっと大変でしたね。本編のほうは、研究結果を読み込んで考察して、自分の意見も添えてと著者の気合を感じさせる内容でしたが、続編はちょっと物足りないかも。神経科学や脳科学の実験結果からUIデザインについて言えることをまとめている部分が前半でメイン。後半は企業のリサーチデータがベースになっているものが多くて、実験デザインとか見えないからちょっとどうかな?と思うものもある。まー、データはデータなので信じていいのだとは思いますが。
読了日:01月19日 著者:Susan Weinschenk


色で巡る日本と世界 - くらしの色・春夏秋冬 -色で巡る日本と世界 – くらしの色・春夏秋冬 –
わたしの好きな色は、江戸の町人が制約のある中でもがんばってオシャレしようぜ!と編み出した”粋な色”だということがわかった。庶民ということで(笑)。あと、ワイン産地の名前が付いた色も好きみたい。昔の人たちがどのように色を見て、生活や宗教や文化と色彩をどのように照らし合わせてきたのか、歴史も含めてとても勉強になりました。これからも粋な色づかいを楽しんでいきたいです。ステキな文化がたくさん後世に伝えられていきますように。
読了日:01月21日 著者:色彩文化研究会


「良い質問」をする技術「良い質問」をする技術
コーチング系の本でした。違う内容を期待していました。でもまー、インタビューのノウハウを教えるときに参考にできそうなところはありました。少しだけど。相手の思考を前に進めるお手伝いを目的として出す問いと、ユーザーの頭の奥深くに潜んでいる気持ちや無意識を引き出すための問いは、完全一致はしない。目的が違うからね。ユーザーリサーチャーにとっての「良い質問」とは?を考えるきっかけにはなります。
読了日:01月22日 著者:粟津 恭一郎


オービタル・クラウド 上 (ハヤカワ文庫JA)オービタル・クラウド 上 (ハヤカワ文庫JA)
【一万円選書⑤】難しそうな雰囲気を醸し出していたのと上下巻だったのとで少し手を出すのを躊躇っていたこちら。出だしは予想どおりに苦しかった。何が書かれているのか、はっきり言ってよく分からん!の連続。世界各国に散らばる登場人物の名前を覚え、配置を把握…するのも一苦労。しかし日本の若人二人が北朝鮮に目をつけられちゃったから逃げましょうぜ!というあたりから急展開です。ここから先は、どうにも止まらない。宇宙のあれこれよく分からんけど、助けてぇ~って思いながら下巻へつづく。
読了日:01月24日 著者:藤井太洋


「学問」はこんなにおもしろい! 憲法・経済・商い・ウナギ (星海社新書)「学問」はこんなにおもしろい! 憲法・経済・商い・ウナギ (星海社新書)
紹介されている先生たちがみんな若い…。まー、そういう基準で選ばれている人たちだから当たり前だけど笑。日本の若き頭脳が、しかもさらに次を育てる立場にいる人たちがしっかりしていてなんだか安心しました。“たとえ人の手が加わらなくても、地球上から消えていった生物は数知れません”とはウナギ先生のお言葉ですが、すごく共感。マーケの先生がすべてのモノコトの裏にある意図の大切さを教えてくれていること、言葉の選び方に慎重さを求めているところ、我々の業界でもとても大切なことです。大学の授業で教えてくれているとは感激ですよ。
読了日:01月28日 著者:木村 草太,安田 洋祐,松井 剛,青山 潤